iPad 便利ですわ。ちょっと不便さはあるけれど。

macbook 2009 late が限界を向かいつつある中で iPad を購入したところ、半年経ってほとんど PC やら mac を使わなくなった。iPad PRo の純正キーボード(カバーのやつ)は若干どうかなというところもあるが、このサイズでこれだけ打ちやすければ全然問題ない。加えて、iMovie が便利なので結局 iPhone も買ってしまった。iPhone で撮影したビデオを AirDropiPad に送り、それを iPad で編集して YouTube にアップするなんてこともできてしまう。完全に Apple にやられている。

iPad の不便なところは、フォルダによるファイル管理の概念が無いところ。今だに音楽 CD を買っているが、それをリッピングするには mac が必要で、そこからわざわざ同期をする始末。また、iPadiPhone で高音質で録音できるマイクを買ったが、それで録音した音を取り出す際にも mac が必要だと。一応、SoundCloud にはダイレクトにアップできるようだが、せめて iMovie あたりには直接放り込めたら良いのに。

ちなみに、GarageBandiPad のアプリがとても使いやすい。ストリングスやドラムの打ち込みはある程度自動で入れられるので、コードとリズムパターンさえわかれば練習用のオケを手軽に作れる。困っているのはベースを録音する方法。iRig に直結のソフトウェアアンプはどうも音が良く無い。もしかしたらもっと良いシミュレータがあるのかもしれないけど。PJB の BIGHEAD は、供給電力の問題で上手く繋がらない。Aux 出力できるアンプヘッド (PJB D-400) を挟む方法もあるが、なんか手軽な感じではなく、うーんという。

ということで、mac を今だに使っているのは、写真 (RAW) の現像と、iTunes の管理だけ。でもまぁ、GarageBand も楽器の録音に関しては Mac の方が楽なのかも。USB ポートは強い。

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IK Multimedia iRig HD  高音質ギター/ベース用インターフェイス【国内正規品】

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脱・教えてちゃんの壁

コーチングの話。 - yutakusto.hatenablog.com

入社 3 年目社員の状況が、7 月のエントリの状況と全く変わっていない。変わってきたのは周囲(自分も含めて)の評価が「うーん、やる気はあるんだけど、いまいちアウトプットに結びついてないねー」という雰囲気になってきたところか。難しい。

そもそも、「分からないところを聞く」という状態を続けるだけでは人は進歩しないのではないかという気がしてきた。ステージとしては、3 つくらいに分かれているのではないか。

  1. 分からないところを聞いて覚える
    • 単純に知識が身につく
    • たくさんの知識やそのプロセスの中で、ロジックの組み立て方がある程度身につく
  2. 分からないところが出た時に、自分なりに仮説を立てる
    • 自分なりにロジックを組み立てる事を積み重ねるにつれて、答えを想定できるようになる
    • 答え合わせをする事で、検証の仕方がある程度身につく
  3. 立てた仮説に対して自分で検証を行う
    • 自分なりの検証を重ねる事で、それが正解であるという確認が自力でできるようになる
    • 答えを持っている人がなくても、論理的整合性を以って「正しい」と判断できる

1 で止まっていると、周りからみると「いつまでたっても教えてちゃん」に見えてイメージが悪くなる。2 に突入するところに結構壁があって、乗り越えられる人とそうでない人がいるのかも。

シン・ゴジラを観た。

シン・ゴジラを観た。

ゴジラはとにかく恐ろしい存在だった。虚構であるゴジラを恐ろしいと感じさせる事、この映画のテーマなのではないかと思う。

恐ろしいと感じるのはどのような条件によるか。簡単なのは、自分に降りかかる事が想像できるかどうかではないか。森博嗣の小説では次のような問いかけが時々ある。「殺人者が人を殺す理由を考えるのは何故だろう」。「男女のもつれ」「金銭トラブル」「異常な精神状態」。テレビで投げられる、そういった、一言で表されるようなレッテル。実際には原因なんてものはどうでもよくて、何かしらの理由をつけて「それだったら自分の場合はそういった事に遭う可能性が少ない」と納得する。そうすれば、その恐ろしさから遠ざかる事ができる。

シン・ゴジラが恐怖を演出する方法は、それと真逆をする事。政府と官僚組織の動き、自衛隊で実際に使われる戦車やヘリといった実機や指揮系統。実際にそれに近い環境に従事している人や知識がある人にはリアリティを生むし、そうでなくても、細部をきちんと描写しているものは、それが分からない人でも何となく現実感が湧く。魂は細部に宿るのだ。ここらへんは SF では必ず押さえておくべき部分なので、監督の手腕が発揮されている。

また、そういった描写以外にも、例えば父親と母親が避難の際に我が子にヘルメット(多分、自転車用だと思う)をかぶせ、リュックを背負わせるシーンがある。逃げる人の中にそれを写真に収めようとする人がいたりする。そういった日常の延長を想像させる沢山の描写があって初めて、夜にゴジラが闊歩するシーンで人はゴジラに恐怖を感じる。

白黒映画だった頃(がどうだったかは分からないが)と異なり、我々は、ゴジラが首都を破壊していく様を見て恐怖していたわけではない。そこに自分たちの生活があるように重ね合わせて、初めて恐怖したのではないか。

振り返ってみると、「日本政府と官僚組織の歯がゆさ」とか「窮地の中でも日本は団結すればどうのこうの」とかいうのは、恐怖を作り上げるために生まれた副産物でしかないように思った。庵野総監督が大組織のヒエラルキーに悩むより(興味があるというより)、クリエイターとしての悩みの方が尽きない(世間の期待を超えるエヴァを作る)だろう。どうのこうのなったのも、映画をエンタテイメントとして形にするためには他に選択肢がないだろうし、といったところ。終わらせ方としては、映画として一番恐怖を与える表現だったかもしれない。

The High-Velocity Edge - Chapter 10 (1)

The High-Velocity Edge に関する記事一覧は こちら

危機的状況下で、High-Velocity Organization はどのように力を発揮するか。

The Crisis That Wasn't

1997 年 4 月 2 日、日本国内の Toyota の工場は、事実上操業停止し、一週間ないしはそれ以上の間、再開の目処が立たない状況に見舞われた。ブレーキメーカの工場が火災に遭ったのだ。そのメーカの工場は、 3 つのブレーキとクラッチのパーツ供給ができなくなった。当時、Toyota の工場は 16,200 台の車両を製造していた。 

これは大きな危機であった。Toyota のサプライヤである Aisin Seiki は P-valve と呼ばれる製品を製造していた。これは、単価としては 5 から 10 ドル程度であるが、安全上なくてはならない製品であり、設計には特許があった。製造には精密機械を必要として、それらは 100 にものぼる特殊な機械によって成り立っていたが、それらが全て火災により壊れてしまった。そして、バックアップもなかったのだ。Aisin は 99 パーセント近いシェアを有していた。

次の日、The Journal はこのような巻頭記事を書いた。「多くのサプライヤが打撃を受けているが、Toyota は金曜日までに復旧する見込みだ。」

Toyota Motor Corp. は「通常運転に近い」製造を 20 日金曜日までに再開させる見通しだ。火災による被害の後、日本の組み立て工場は先週末まで運転していない状態であったが・・・

いかにしてこのような素早い復帰ができたのか。Journal は次のように報告している。

Mr. Ushijima (A senior associate at a Tokyo think tank) は次のように語った。トヨタのために独占的に作っていた Aisin の部品について、代替部品の品質を Aisin のものと同等のものが提供できるのか。私には Toyota が言うようなスムーズさで復旧が進むとか思えない。

木曜日までには、36 ものサプライヤが 150 にものぼる下請けの助けをかり、50 に近いラインを復旧させた。ブレーキバルブの小バッチを作るものだ。

総力戦で、サプライヤは再開し、製造は徐々に復旧したのだ。最初の 1,000 個の使用に耐えられる P-valve がどっと運ばれたのは水曜日の終わりごろだった。木曜日には 3,000 以上が届き、金曜日には 5,000 個が届いた。ゆっくりであるが、組み立て工場は再開できた。

Toyota の中のネットワークに一体何が起きたのか? ひとつあり得るのは、Toyota か Aisin に細かな管理を行う態勢が備わっていたという想定だ。Aisin が P-valve を製造するにあたって行っていた事を、200 もの他社に対して正確に教えたという事だ。しかし、これは現実的にはあり得ない。

The Journal は次のように分析している。「秘密は Toyota の、しっかりと結びついた家族のような部品供給との関係にある。Amish barn raising と同等な企業の中で、サプライヤと地元企業が救助に駆け込んだ。」当時の火災から1年後に発行されたケーススタディの中で、Toshihiro Nioshiguchi と AlexandreBeaudet は、火災からの復旧は、企業それぞれの「迅速かつ大きな自己組織化の働きによるもの」が成し得たという事を見つけた。これは、全体をとおして、P-valve より以前には前例のないような経験であった。はっきりと、先ほどの仮定に反するように、「Toyota の中でまさに小さな直接支配」が行われていたのだ。

これらの評価は、別のあり得る説明を提案してくれる。Toyota とサプライヤとの間に構築された特別な信頼関係の要素があり、それは密接に協力する中で得られたものだと。あるサプライヤ次のような事を言っていた。「Toyota の迅速な復旧は、グループの力によるものだ。それは、お金だとかビジネス上の契約といった考えてではないところから引き出されている。」Nishiguchi と Beaudet は次のように同意している。復旧は技術的な所有権だとか財務的な賠償といった事を抜きにして行われた。ただ、確かに、ロイヤリティは直ちに行われ、Toyota はサプライヤに対して、ボーナスを 1-3 月の売り上げの 1% を与えた。合計で $100 million にのぼる。

ご恩と奉公が働いたということは説明できるが、成果としてはまだ説明できない。Toyota は、多くの個々や組織をこの危機的状況下で変え、同じ反応を得なかったのだ。もし、Toyota や Aisin の細かな管理がもっともらしい説明ではなく、信頼関係が十分な説明ではないならば、どのようにして多くの組織のこれだけの人々が新しい製品や物流システムを、ものの数日で作り上げたというのか。

その鍵は自己組織化にあった。

Self-Organization: Complex Results from Simple Rules

ここに、High-Velocity organization のための 4 つの特性をルールとして示す。

  1. 設計:アウトプットを追い求めるという観点で、人、ステップ、流れを、出力を生み出す道に沿うように作ったワークシステムが必要である。それぞれのステップを繋ぐために、物質や情報をどのような方法で交換するか。そしてそのステップで使われる理論は何か。試行を伴うシステム設計には、直ちに、予測と発生するものの間のギャップを埋めることができなければならない。
  2. 改善:たくさんの問題は彼らに注目された瞬間に抑制され、調査され、迅速に解決される。解決の中で、問題により与えられた悪影響は関連づけられ、科学的理論に基づいた訓練により問題解決および更なる知識の付与が行われる。これが、将来的な成功のチャンスを増すための方法となる。
  3. 知識の共有:組織を通して、現場で得られた知見は何でもシェアされる。発見をシェアするプロセスは、特殊なソリューションと同じくらい大切だ。新たな視野は、広い用途に置き換えられ、より広大な利益へとつながる。
  4. 問題解決能力の開発:これらの能力開発は、リーダであるあなたの担当だ。

もし、我々が Aisin の火災からの復旧を間近で見ていたなら、自己組織が成功へと導いていた事がわかるだろう。なぜなら、これら 4 つの王道の能力とも言えるルールが、火災が管理下に置かれるよりも前に、偉大な訓練により実践されていることが確認できるからだ。

最初に、もちろん、把握するべき事はそこに処理すべき問題があるということだ。火事が起こって一時間以内に、それが管理下に置かれるよりも前に、Aisin は war room と呼ばれる部屋を作り上げ、蓄えていた 100 もの携帯電話と、230 もの固定回線、そして昼夜を問わずオペレーションを行うための寝袋を備えた。そして、直ちに、提供先の顧客とともに新しい業務プロセスを組み上げた。このタスクは 4 つのサブプロセスに分けられる。別の製造拠点を準備すること、それらを繋げるための物流ネットワークを立ち上げる、顧客と働く(Toyota は最大の顧客ではあるが、唯一の顧客ではないのだ)、そして、他社との間でグループとして働くことだ。

Aisin と顧客は、調査を始めた。どの P-valve の形式が、もう一度立ち上げ直す必要のあるものか。製造キャパシティには限界があるためだ。形式は 100 種類にものぼる。もし、顧客が P-Valve を 1 台の車種に 1 つ以上あるようなら、どれを高い優先度とするかを決めるようにした。

言い換えれば、最初のタスクはシステム全体として何をアウトプットと定めるかということになる。どれだけのパーツを、どの顧客に、いつ届けるか、だ。他の意思決定は、すべて一つのに集約される。助けを申し入れている企業たちのために、目的が直ちに定められた。Aisin は特殊な設計図をファックスで日曜日の朝に送った。火災のあったその日のうちの出来事だ。この権限委任はネットワークを通じて行われた。Toyota のサプライヤである Somic Ishikawa Inc. は自身の製造において余剰なキャパシティを Aisin が受け入れられるよう貸し出した。Taiho は混合のアプローチをとり、いくつかの通常作業と、いくつかの P-valve の製造を、サプライヤのうちの 11 社に分散させた。Kayaba は別のサプライヤであり、もともと P-valve の製造を行っていなかったが、彼らの補強の手助けとして、機器の効率と妥当性に基づき、3 つに担当を分担させた。Toyota 自身は P-valve の製造においていくつかの担当を持っていたが、臨時の製造拠点をつくり、試験工程や製品のメンテナンスを行った。

製造の担当に権限を下ろして行ったにもかかわらず、それぞれの自己組織化されたネットワークの中の自主的な集団は、同じルー理解に従って動いていた。技能を与え、利用可能な人と装置を制限する事で、欠陥のない P-valve を生み出す製造工程を作り上げることができた。

我々は、high-velocity organizations が、どのようにして他者を引き離すかを学んできた。すなわち、システムを設計のための能力、それを改善する能力、そして学んだ事をお互いにシェアし、組織がまるである一人の経験を皆で分かち合う事で。

これだけの速さや緊急性というのは、あまり無いものの、問題を協力して解決するという基本的なアプローチ、それぞれの場所で交わって学んでいく、そして個々に学んだ事をテコ入れして、システムを全体に広がるようにする様は、どのようなケースにおいても非常に親和性がある。

きめ細かな管理は重要では無いのだ。何故なら、従業員は全ての層にわたって訓練されており、どのような日々の仕事においても迅速に問題解決ができるからだ。


The High-Velocity Edge - Chapter 9 (3)

The High-Velocity Edge に関する記事一覧は こちら

Process-Excellence Boot Camp

洗練された組織は大抵、特に技術の専門性に優れた人材がいるものだ。High-Velocity Organization は、他者より早く、競争に勝り、傑出した存在であるが、やはり競合他社と同じような、もしくはそれに勝るエキスパートがいる。彼らが有している人材の専門は熟練の技であり、科学であり、プロセスの訓練だ。せんもんせいにおいて調和のとれた進歩を見せ、全体を通して一貫した中で、機能的なピースを持つ。

Aisin は組織として Operations Management Consulting Division (OMCD) を持つ。これは、一般的なライン職から外れ、傑出するよう変わるための場所だ。ここでは深く、激しいブートキャンプの体験を通じて、設計、改善といったプロセス、そして同様に大切な、他者に教育し、同じ事をさせるというトレーニングを積む。

トレーニングの土台は、プロセスの専門家やその提供者のためのものであるから、Aisin の OMCD はかなり重大な役割を果たしている。OMCD はそれぞれの生産ラインの効率性、性能改善のゴールを定める、といった事を評価する。そして、効果的な変化をもたらす機会を見極め、改善の努力に対してサポートを行う。

Toyota でももちろん、こういった組織がある。Toyota では、工場の改善活動をサポートをし、人々がよりエキスパートになるれような利益を、問題解決を頻繁に行う事を通じて、提供している。

Leaders as Process Owner

Gary Convis は Toyota でもユニークな考え方を持つ人物だ。
彼は NUMMI に来るまでは 20 年近く Big Three で働いていた。Georgetown, Kentucky 工場の立ち上げを助け、Toyota の製造現場で最初の日本人ではない責任者となった。

彼はプロセス改善の監督をしていた。他の人たちがその職を望んでいなかったりその能力が無かったというわけではでなく、境界をまたいで解決するべき問題が沢山あったのだ。多くの Toyota が抱える問題について、ひとつの結果からそれらの解決を導いていった。Georgetown 工場は製造におけるキャパシティをより増やすひつようがあった。なぜなら、需要がそれだけ増えていたからだ。そのような問題を解決する方法とはどのようなものか。Georgetown は設備をより必要とするポイントに立っているが、それをいったいどこに置くのか。工場を拡張することは低コストにもならないし、迅速なソリューションにもならない。どこかにデッドスペースはないか。答えは倉庫の中にあった。

在庫を小さくして機敏な操業することで評判を得ていた Toyota であったが、生産ラインの走行には最小数のパーツがあり、これらは最盛時の製造んいあたって材料を十分に確保するために必要としていた。工場内に多くのワークステーションを増やし、倉庫のために使っていたスペースを充てた。5 から 10 セットのパーツが一度にやってくる中で、それらのセットをそれぞれ運ぶため、ワークエリアはより混雑するようになった。

在庫を小さくして機敏な操業することで評判を得ていた Toyota であったが、生産ラインの走行には最小数のパーツがあり、これらは最盛時の製造んいあたって材料を十分に確保するために必要としていた。工場内に多くのワークステーションを増やし、倉庫のために使っていたスペースを充てた。5 から 10 セットのパーツが一度にやってくる中で、それらのセットをそれぞれ運ぶため、ワークエリアはより混雑するようになった。

これは言うほど簡単なことでは無かった。まず、ワークステーションを変える必要があった。それぞれの流れにそって材料を受け入れる必要があった(製造エンジニアの領域)。加えて、それぞれのピースにおいてオペレータが扱う方法を変える必要があった(製造責任者やマネージャの範囲)。ワークステーションや人に部材を合わせるのではなく、部材にワークステーションや人を合わせるのでは必要があったのだ。

このように、他の組織では到底行われないような事を Convis は彼自身の仕事として取り組んでいる。彼は決して、それぞれの物事を彼のレベル以下では見ない。そして、このようには結論付けたりはしない。もし水平ではなくて垂直にパーツを運ぶ事がトラブルになるなら、それは価値のないことだからやめたほうがいい、と。

High-velocity organization のマネージャと、それと対を成すような人たちとの決定的な違いを別に表すならば、もし問題が起きたとして、それが彼らのレベルに達したとして、高いレベルのマネージャはその解決をの一端を担わなければならないということで。

シニアリーダはプロセスを改善する者でなくてはならない。そのためには、問題が起きた時、場所をしっかりと見定めることができなければならない。

Who Is in Charge of Whom?

もし、彼らが過ちを起こし、そこの問題に気づけなかったならば、それはトラブルを引き起こす。もし、過ちを起こし始めたらところが見えれば、素早く和らげることができるかもしれないし、組織は発生した事実から学びが得られるかもしれない。

本チャプタの始めに、シニアマネージャが見たいものは完璧に塗装された車ではなく、問題のある点であるという事に触れた。それを見つけるのが彼の仕事であり、そこから彼自身の仕事ととしての改善になる。

Convis はこの視点について次のように述べている。

私は Mr. Ikebuchi と T. Toyoda から次のような事を聞いた。「皆はあなたが上司だという事を分かっている。しかし、私はあなたに、力のない下っ端のように振舞ってマネジメントをして欲しい。」彼が説明したのは、私がまさに権限を何も持たなくてよいということだ。彼は私に、現場に出て自分の考えを売り込んで欲しいと考えていた。そうするために、私はオフィスを出て製造現場に向かわなければならなかった。それが問題を見つける唯一の方法であったのだ。

コーチングの話。

ここ半年程、3年目の社員から色々と質問されては答えるというのをほとんど毎勤務帯行っている。

質問の内容は、保守対応に関する技術的(?)な質問。例えばハードウェアの状態を確認するためにはどういうコマンドを打ったら良いかとか、このコマンドはどういう意味かとか。あとは、もっと情報工学寄りな、RAID 冗長の仕組みとか、仕組みを踏まえた上でディスクがどれくらい壊れても完全性が確保できるかとか。最近の製品、例えばストレージひとつとっても、単純な RAID5 などの構成ではなく、もうちょっとこねくり回した製品が出てきたりしていて説明するのが面倒なのだけれど、運用で使う情報理論は、大体は中学生くらいまでの数学と、国語(できれば英語)が分かれば乗り切れる。

では、簡単な数学と国語が分かれば乗り切れる程度の知識をいくらか教えたところで、その本人に何の糧になるかという問題がある。製品は移り変わりが激しいので、そこで使っている技術についてイチイチ覚えていても、何年かすればどうでも良くなってしまう。何より、そういった知識というのは動機があってこそ役に立つ。

例えば、ストレージのディスクがが複数台壊れ始めたら、「あと何台壊れても完全性が確保できるのか?」という疑問が湧く。それを把握するためには RAID 等の設定を確認するコマンドを把握する必要がある。またその結果から判断するためには RAID の仕組みをを理解しておく必要がある。ということで、動機を持たせないといけない。

それならば、知識を与えるよりも動機を持たせる方が良いのではないか。もっと言えば、「自分は何が分かっていて、動機を解決するためのは何を知る必要があるのかを切り分ける力」を受けつければ、あとは、google で勝手に調べるかもしれない。

しかしながら、もしかしたら知識がなければそもそも疑問とか動機も生まれないのかもしれない。という卵と鶏の問題が常につきまとっている。

The High-Velocity Edge - Chapter 9 (2)

The High-Velocity Edge に関する記事一覧は こちら

A Toyota Leader in Action

Norm Baffuno はインディアナにあるトヨタの組み立て工場のシニアマネージャだ。この工場は、最上級の製品を製造するにあたって並外れた仕事をする。

  • 製造能力について、迅速に拡張を行える。
  • 製造可能な製品の種別という面で、柔軟性がある。
  • 新しい形の立ち上げ準備にあたり、新しい製品のテストや、新しい技術の開発において、素早く想定を立てられる。

Baffuno は他のリーダたちのように、仕事を次のよう見ている。

  • 何をしようとしていたか
  • いつ
  • だれと
  • どこで
  • それに伴って何が生み出されるか

Baffuno の視点はこうだ。

  • 彼らが確定させようと努力したプロセスはどのように動いているか
  • その時に経験した問題
  • 行われた真因分析
  • テストされた対案
  • 予測される将来の状況
  • 達成された実際の結果

実際の行動としては、

  • プロジェクトを訪ねることは、Baffuno の日々の業務に組み込まれている。だいたい、2 週間に一度くらいの頻度であり、四半期とか年に一回といったようなことはしない。
  • レビューは会議室ではなく、その問題が起きた現場で行う。
  • Baffuno に関係するグループにおいて、改善活動を行う階層に属する者全員でレビューを行う。

レビューの終わりに、Baffuno は必ず次の事を言う。「技術的な説明に感謝する。そして、達成した結果とについても賞賛する。しかし、教えて欲しい。貴方がプロセスという観点で学んだ事は何かな?」

これが、Toyota のリーダの質問の本質だ。

Leader as Capability Developer

Knen Kreafle が Gerogetown 工場に以前勤めていた時の話。

あるリーダの話

私が記憶しているのは、最初に paint shop を操業させた時のことです。そこに豊田市からきたシニアマネージャが訪れました。

日本人の管理者、彼は私のまとめ役であり、メンタであり、案内役であり、何かを行う時のコーチでした。その管理者は、我々が何をしていたか説明するように言いました。私は仕事におけるベストな事例を見せるべく、説明しました。多くの誇るべきものがあったのです。初期の頃、そこはアメリカの草ぼうぼうの土地から始まり、とても苦労して工場を立ち上げました。従業員たちは皆、未経験だったのです。

彼は言いました。「彼らが見たいのはそういうものではない。車にどのような誤りを見つけたかだ。」

最初、私たちは要領を得ませんでした。しかし、次の時間には、我々は車のちょっとしたアラをも探し回りました。見えるところだけではなく、見えないところ、フードやトランク、フェンダなども。車の中や下も潜って。

「ようやく準備ができたようだね。彼が来たのは、単純に何を見つけたかではなく、それらがどのように引き起こされた、そして再発しないようにどのように対策することができるか、その考えを聞きたいからなのだよ。」

次の日、彼がやってきた時、私は信じられませんでした。私は Big Three の一つで働くことになったのです。重役がやってくると、 良いニュースについて全てが伝えられました。その時の質問はたくさんありました。私たちはターゲットに出会う事ができたか。無駄なものや時間は何だったか。全てのスタッフはそれらに正しく答えようとしましたが、本質に触れることはできませんでした。

しかし、彼は、プロセスについても全て知りたかったのです。私たちがプロセスについて知っているもの全てを。その後、スタッフはついに、根本にある原因に到達し、本質に触れる事ができたのです。説明できないゴミや汚れがあれば、それを取り除くことはできません。試験した車や生産ラインなど見えるところへ立ち戻り、リンクを見つけようとしました。絶対に忘れられない記憶です。

別のリーダの話

Mr. Cho は Toyota執行役員です。当時はケンタッキーの社長をしていました。
一年の終わりに、年次報告の時がやってきました。Toyota の報告は非常にシンプルです。それぞれの項目について、赤、黄、青で評価をするのです。シートに記入を始めると、ほとんどが赤、そして次に黄色があり、青はほとんどありましせんでした。その時、我々は数ヶ月前に立てた目標に対して全然到達していないことに気づいたのです。
まず、私は Mr. Cho に謝る事から始めました。
「いや、今年は成功だよ」
「しかし・・・」
「きみは多くの進捗を残した」
「しかし・・・、我々が掲げた目標には・・・」

「これらは、市場を完全に満足させるために達成することだ。本質的なターゲットだ。偽りなく、我々は考え、今よりもよりよくする必要のあるものだ。当時は十分ではなかった。今もまだ十分ではない。しかし、より良くしているところだ。それがここから分かる。まだ良くしているところなんだよ。しんぱいすることはない。今年は成功だよ。まだ完遂していないだけだ。」