マスターの話:オールドジャズベースの修理

学生時代にとてもお世話になった、とあるライブハウスのマスターとの話。

マスターは昔からジャズベースを使っています。オールドといわれる、楽器としての価値はいうまでもなく、骨董品的価値も持つ、かなり希少なもののようです。オールドだと状態が良いと 100 万円くらい軽くいくので、僕なんかにはちょっと手が出せないかなって思ったりします。もともと所有したいという欲求はないのですが。

そのジャズベースも、経年劣化によって使用がかなり厳しい状況になったようです。最初は電気系統がやられたのかなって思ったのですが、そうではなくてフレットとナットの摩耗だそうです。順反りさせて弦高を目一杯上げてもビビリがでるくらいという事で。

そういった楽器を修理するとなると、フレットの打ち直しとナット交換になるわけですが、それを国内の工房でやった場合、「改造」扱いになって骨董的価値がなくなるそうです。なんでも、そういった価値を維持するためには、米国に一人だけ居るフェンダーのビルダーにお願いしないといけないとかなんとか。

仮にそのビルダーにお願いしたとしても、ナットとフレットが新しいものにかわるので、その楽器はやはり「使い込んだ」ジャズベースとは違う音になるという事で。例えばフレット一つにしてみても、長く使ううちに少しずつ磨り減って、自分の音になっていくそうです。なるほどねぇ。

良いものを長く使う、というのは大切ですが、古いものを大切に使うのも結構お金がかかるなぁと思った話です。