マルチキャリア、マルチシステム運用

「ダブルLTE」の提供開始について | ソフトバンクモバイル株式会社
ダブル LTE(ソフトバンクとイーモバイルの LTE 網相互運用)が始まりました。記者会見も大々的に行われたようで、世間的には(当然)ポジティヴイメージなのかなと思います。

特徴としては、「混雑状況に応じて自動的に最適なネットワークを選択する」事で、安定したネットワーク品質が得られるというところにあるみたいです。トラフィック分散がはかられるので混雑が低減されるので、ユーザスループットがあがるという事ですね。

こうやって書くとなんだか簡単そうですが、マルチバンド運用というのはなかなか大変だったりします。KDDI の田中社長のコメントにもあるように、それぞれのバンドの役割を明確にさせてエリアを構築し、それらをパラメータチューニングで繋いでいくという作業が必要になります(参考)。

今回の場合、相互運用する事を目的としてそれぞれのエリアを作ってきたわけではないので、お互いに補完できているエリアもあれば、両方とも弱いエリアもあると予想されます。マルチバンドで気をつけないといけない事の一つに、片方の品質はいいけれどももう片方は悪い、というケースがあります。例えば、ソフトバンクで十分な品質だけれどもイーモバの品質が悪いみたいなエリアだと、今まで特に問題なく使えていたのに、負荷分散でイーモバのエリアを使わされたがためにスループットが低下するというリスクもあります。もちろん、逆にソフトバンクで使えてなかったところでもイーモバの品質が良くてラッキーみたいなケースもあるわけですが。

混雑したら他のバンドへ、とか、品質が悪ければ他のバンドへ、みたいなオペレーションはパラメータチューニングで当然できるわけですが、そこのポリシー策定(設計)も考えて行わなければなりませんし、実際にチューニングしてみると全然上手くいかないケースも多かったりで苦労します。今までマルチバンド運用経験の乏しいソフトバンクやイーモバイルがどこまでノウハウを蓄積できるかというところもありますし、今後(全ての端末がダブル LTE に対応していない中で)お互いのエリアをどう住み分けていくかという話もあります。

というわけでなかなか現場のオペレータはクソゲーみたいな事をやらされるのではないかなと思ったりするわけですが、案外ベンダーさんが同じっぽいので丸投げでオッケーみたいな流れではい終了みたいなソリューションかもしれません。