The High-Velocity Edge - Chapter 6 (2)

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日本の代表的な High-Velocity organization である Toyotaトヨタ自動車および関連会社)について。

A Framework for Designing Systems

High-Velocity Organization は以前の記事にある通り、複雑なオペレーションを管理するために必要な 4 つの capability を使い、他の企業と一線を画す方法で高いパフォーマンスを叩き出している。

Toyota の場合はどのようにシステムが設計、運用されることで、高いパフォーマンスを出すことができているのか。

System Output

設計者は、まずは、システム全体の目的を知る必要がある。

  • 何が届けられるべきか?
  • 誰に届けられるべきか?
  • いつ届けられるべきか?

いわば、「お客様に対して、いつ、何が、どれだけ届けられるか?」がきちんと把握できている必要がある。これが大前提となる。

Pathway Design

次に設計者は、システムのアーキテクチャを知る必要がある。

  • 誰がその作業を行ったり、責任を持ったりしているか
  • システム全体のアウトプットを達成するために、なんのシーケンスが必要なのか

モノ、サービス、情報が最初から最後までどのように流れていくのかを知る必要があるという事になる。

Connection Design

次に、それぞれのステップにおいて、作業者はどのような繋がりを持っているかを知る必要がある。いわば、何がトリガとなって何を受け渡すか、ということだ。

情報、モノ、サービスは次から次へと渡されていくが、その際にどのようなアクションを経ているか、何がトリガとなるか、(渡すためには)渡す人が何をする必要があるかをきちんと把握する必要がある。

Methods of Individual Task Activities

最後に、どのように作業員が正確に仕事をするべきかを知る必要がある。

タスクを成功させるためには、どのような順序で、いつ、どこで、作業をし、どのような結果を伴う必要があるかをきちんと定義しなければならない。


待ちの状態

上期に、チーム内で分担してある取り組みをしたときの話。

一定期間で進捗をみてみると、きちんと進めていく人とあるポイントで止まってしまう人に分かれた。事前に目的はきちんと話しているし、細かなところは個人の判断に委ねるとしてら具体的な進め方も共有している。それでも、止まってしまうケースがある。

何で止まっているかみてみると、原因はどれも同じであった。「他のグループの担当者に確認を取る必要があり、依頼しているが、レスポンスがない」とのこと。依頼している当人は待ちのスタンスなのだ。

そこで、実際に止めてしまっている担当者に電話して、ざっと話をしてみると、次の日には欲しかったものをきちんと出してくれたりする。

事前にいくらお膳立てしても、外的要素はどうしようもない。失速したときに何も方針がなければ、ついには止まってしまう。今回のケースでは実際にはちょっと様子を伺えば解決していまうようなものであれ、こんな状況となる。

時には待つことも大事だけれど、どこで動き出すべきかはきちんと自分の中で持っておかないといけない。

お金のため以外に働く

仕事の合間、寿司屋のカウンタでランチを食べていた時の話。隣の客二人が次のような話をしていた。

  • その会社では営業職は出来高制で、基本給はすごく安い
  • 2, 3 年ほど前からその会社に雇われたとある営業の人物は、常に営業成績が悪かった
  • どうやら実家は農家で家持ちらしく、お金にはさほど困っていないらしい
  • 業を煮やした経営者が期限を設け「ノルマを達成できなかったらクビ」という約束を取り交わした
  • 結局その人物はノルマを達成できなかったが、「不当解雇だ」と裁判沙汰になった
  • 結論は「やはりお金に困っていないと人は働かない」

その会社が社員とどのような雇用契約を結んでいたかは置いておいて、「お金に困っていないと人は働かない」というような会社は端から聞いていて悲しい感じがする。

「お金のために仕事をするのは良くない」とか、「達成感を分かち合ってこそいい仕事ができる」とか、そういった話はよく聞く。それをそのまま捉えるとただの綺麗事のように聞こえる。普通に考えれば「いやいや、きちんと成果を出してその対価を貰ってこそでしょ」となる。

しかし、前述の例を出すと、お金というインセンティヴだけでは「払われる対価に対して満足した時点でその人はそれ以上に成長しなくなってしまう」という問題が出てくる。普通の人は、若い時には遊びたいし、年齢が上がるにつれて家族を養うといった目的のためにお金がどんどん必要になる。それを満たすために仕事に対して精を出すわけだけれど、そのうちにそのバランスが崩れる瞬間があるというわけだ。くたびれたオジさんはそうやって生まれるのかもしれない。

放っておいてもどんどんとゲインを上げていく人も居れば(その人はもしかしたらお金とは別の価値観も持っているのだろう)、止まってしまう人もいる。後者に対しては金銭的な雇用契約以外に対してのインセンティヴないしはゲーム性を与えなければならないのかもしれない。

The High-Velocity Edge - Chapter 6 (1)

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日本の代表的な High-Velocity organization である Toyotaトヨタ自動車および関連会社)について。

How Toyota Raced from Behind to Win

Toyota は疑う余地のない、high velocity organization のうちの一企業である。アメリカの市場に参入後、すぐに Big Three を後塵に押しやりレースを独走していった。世界で(商業的に)最も成功した自動車会社となった。

  • Camry は 2002 年以降、アメリカで最も売れている
  • Lexus LS430 は 7 年連続で高級車のリーダーたる存在であった
  • Prius は 2006 に 100,000 台を売り上げた。

Toyota の成功は Velocity of Discovery にあると言っても過言ではない。Velocity of Discovery とは、企業の進歩、イノベーション、発明のスピードを指す。

Toyota は製造工程の目覚ましい進歩によって競合他社を大きく突き放している。それは工場や設備に対して単純に投資を行い、重厚化させるという意味ではない。人を機械に置き換えて効率化を図るといった類のものではないのだ。

短期的な視点で言えば、Toyota はよりたくさんの仕事をするためにはどうすればよいか、という観点で進歩を重ねている。より早く、より信頼のおけるように、というのを人やモノを増やさずに行うのだ。そういったプロセスを何十年も積み重ねている。

Generating High Velocity: The Legacies of Taiichi Ohno and Sakichi Toyoda

Toyota の長い成功の歴史は、主に 2 つの約束事を礎にしてできている。

  • それぞれの仕事は全体プロセスの中の一つであるという認識を持つ事
  • 仕事をするにあたって常により良い方法を模索する事

この 2 つの約束事は、企業の指導者であるオオノ・タイチとトヨダ・サキチによるものと言える。

オオノは Just In Time による pull production を開発した人物として有名だ。第二次世界大戦後、アメリカの自動車会社がこぞって日本市場に再進出した際、日本企業は彼ら競合他社に太刀打ちするべく苦慮していた。しかし、自社の工場を見てみると、とても効率的とは言えないような状況であった。ある労働者はせっせと部品を作って在庫を増やしているかと思えば、もう一方で他の社員は組み立てるべき材料がないために暇を持て余していたりする。

こういったヒト、モノの無駄を排除するにはどうしたらよいか。オオノはシンプルなルールを作った。誰かがモノを作るのは、誰かから要求された時だけ、というものだ。これにより下流が上流のペースを作り出す事になり、大きなプロセスの中にそれぞれの仕事を組み込まれ、全ての仕事は顧客へと繋がっていく事になる。決して、一つ一つが個別に動くということはあり得ないのだ。

サキチは、豊田自動織機を設立した人物として有名だ。彼の村では女性(彼の家族を含む)が手工業により織物を作っていた。それは非常に重労働であり、サキチはそれに対して心を痛めていた。

そういった状況を打破するために、自動化の考えを重ねていった。問題が起こった時、その場所で自動的に機能が停止するのだ。これにより、余計なスクラップを作らずに済むし、いつどこで問題が起こったのかを証左できる。問題を見つめるという事が高い速度での改善において必要不可欠なのだ。

(続く)


自分の力量について

業務をしていたり、演奏をしていたりすると、自分の力量を把握できていない人を見かける。

業務でいうと、やるべきタスクがあるのに、それに気づいていなかったり、取り組んでいる業務に対してアウトプットが低かったり。音楽で言うと、どう考えても技量が足りなくて演奏できなさそうな曲を選んだり。でも何故か、本人はそれに気づいていないらしい。

何故気づかないのだろう、という話を職場の人と話をした事があるのだけれど、その理由は分からなかった。そして、「そういった人間になる可能性は自分自身にもある」という結論となった。何故そうなるか分からないのだから、一歩間違えればそうなる可能性があるという事だ。

もっとも、逆のパターンもある。なんでも出来ちゃうような信頼の置ける人でも、えらい謙遜する。自信があるけど敢えて謙遜しているというわけではなく、自分はまだまだ未熟だと心の底から思っているような印象。それも言ってみれば力量を把握していないとなる。こちらは、別に周りに迷惑をかけるわけではないし、きっともっと目指す先があるだけなんだろうけれど。

何か目指す方向性が明確にある人は、たくさん気付くし、きちんと取り組むし、アウトプットを確実に出すのかもしれない。

サンダーバード

NHK でやっている新しいサンダーバードが面白い。
昔の人形劇ではなく CG となっていて、昔の方が趣はあったように思えるけれど、今の方が疾走感はある。

ふと気になったのが、Thunderbirds Are Go というタイトル。go は動詞ではなく名詞らしい。たしかに、複数機が発進する時には "are go" って言ってるし、単数(例えば 3 号のみ)で発進する時には "is a go" と言っていたような気がする。

"Thunderbirds go" だとただ単に発進するというニュアンスなのだろうけれど、名詞の go には「オペレーションを行う準備が整っている」という意味合いが含まれるらしい。劇中でも発進直後に "Thunderbirds are go" と言っているので、単純に発進したという事実を伝えたいというよりは、「これよりオペレーションを遂行する」という意気込みなのかもしれない。

ちなみに今回のサンダーバードにはサンダーバード S 号 (Thunderbird S) という機体が登場するが、これは日本のメカニックデザイナーが手がけているそうな。マクロス F とかのデザイナーらしい。

初回では悪役が地震発生装置を地球の至る所に仕掛けたものの、それをコントロールする発信機が一つの衛星についていていることを国際救助隊が電波解析で割り出し、その衛星を乗っ取った挙句に逆探知で悪役の居場所を突き止められてしまうというような展開であった。

やはり複数の衛星で冗長を組むべきなのだけれどコスト的な制約があったのだろうか、という疑問があったものの、本件の目的としては「揺さぶりをかけた時に各国がどのような反応を示すかを確かめればそれでいい」みたいな話を悪役がしていたので、まぁそれだったら良いのかな納得。


thunderbirds-are-go.jp