The High-Velocity Edge - Chapter 9 (1)

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High-Velocity organization における、リーダの役割をについて。

High-Velocity organization のリーダたちは、次のような役割を果たしている。彼らに課せられた責任はすなわち、自分たちで集め、自分たちで良くし、自分たちで改革していくという組織の能力を、自律の中で、訓練を通して高めていくことだ。それらは、広い範囲で徹底して行われている。

Learning to Lead at Toyota

Toyota のリーダの一人、Don Dallis の話。

Learning to See and Solve Problems

Mike Takahashi は最初に Dallis を Toyota の West Virginia engine plant に配属させた。3 つの観点で、19 のメンバからなるグループの仕事を改善するためだ。3 つの観点とは人間工学に基づく安全設計、能率、オペレーション技能だ。6 週間にわたって、Takanashi は観察に重点を置いた。それは、現在の状態を現実的に見ることだ。どのように仕事が実際に行われているか、何の影響が実際に及ぼしているか。変化させることで、仕事における複雑な仕組みに対する最大限の知見が得られるようにするためだ。

  • もし、変更が上手くいったならば、Dallas は真に「なぜ」を理解できたといえる
  • もし、上手くいかなかったならば、少なくともそこに幾つかの間違えた考えがあったことになる。それは最初の理由付けが「机上の空論」に過ぎない考えだったのだ。

6 週間にわたって、Dallis は個別のオペレータの仕事にフォーカスしていった。彼は幾つかの変更を施した。笑ってしまうほど些細なものもあった。彼らの過去や将来の担当業務と比較すると、非常に些細なものだった。

  • ライン側のパーツラックの配置を変える。それにより、ものを取りやすくする。
  • 機械のハンドルの位置を変える。人間工学的に無理な負荷を軽減させるため。
  • 作業場の中でより現実に即したシフトを組む

Takahashi は予測に反した実際の結果についてきちんと追跡する事を徹底して大切にした。そして、Dallis と共に観察した。現実の効果はどのようになるか、Dallis が立てた予測と比較した。結果として、生産性と人間工学的な部分がより良くなったが、オペレーション能率(遅延なく機械が動作する時間の割合)は下がった。もちろん、従業員は機械をサボらせていたわけではないにもかかわらず。

そのため、Takahashi は Dallis に次の 6 週間、別の事を支持した。人に注目したのではなく、機械に注目させて改善活動を行わせた。信頼性と使いやすさを工場させる方法を考えさせた。
Takahashi は次のような事を強調した。Dallis にはあれこれ推測させず、実際に失敗が起きるまでじっと待たせた。それにより、それら失敗が起きた時と場所でその問題を調査する事ができた。
機械を直接調べていく事で、真因分析やそれぞれの失敗の再現ができた。そして、即時の改善、すなわち原因と思われる要因を取り除く事ができた。これにより、オペレーション能率は 90% まで向上した。しかし、これはまだ Takahashi の定める 95% には達していなかった。

Dallis は 12 週にわたって、調査することの大切さを学んだ。調査にあたっては、改善のための基礎と、期待したものについて明確な根拠として科学的な理論を使うことが重要であった。変化させたり変化の結果を調査することを徹底するよりも前に、それをする事が重要だ。

彼は働いてた中でそのプロセスを著しく改善させている間にこれらのスキルを学んでいたが、それは彼にとっての本当の Toyota になるための時間だったのだろうか。もしくは、かれは最初に同じようなスキルをより大きなスケールで実施しなければならず、そのための準備に過ぎなかったのだろうか。
答えは両方ともノーだ。

そして、Takanashi と Dallis は 日本にある Toyota の Kamigo エンジン工場に飛んだ。そこは、Ohno Taichi が最初にトヨタ製造方式とジャストインタイム工場の基本概念を得た場所だ。

到着するとすぐに、Dallis は研究課題に取り組んだ。最初の 3 日は、かれは一人のオペレータと共に、ひとつの機械加工セルでの仕事に従事した。3 交代のシフトで、彼らは 50 の変化を行い、従業員にかかっている過度な負担を緩和させる取り組みをしなければならなかった。それは何よりも本当に必要とされていることよりも、効果のあるものが求められた。

Dallis は以前には気づかなかった微妙な点が見えてきた。例えば、ジグを移動させるにしても、一つのの変更を加えただけでは
意味がない。それが従事者の右にあるべきか左にあるべきか、どれくらい遠かったか、肘や手首の角度や握りなど全てを気にしなければならない。

彼らはまた、スピードの欲求と訓練の強要は矛盾するということも学んだ。もし、かれが早く低コストにアイデアをテストするプロトタイプを構築したとしても。

Dallis は言った。「Mike は私により早く早く早くトライさせようとした。考えられる中で可能な限り最小の投資で。」

そういった中で、Dallis は学んだ。テストするためのスピードと、学ぶための教育はトレードオフで、それをいかに最小にしていくか、というものを。

大切なのは、科学的な理論を使うことで問題を解決し、深いナレッジを蓄積し、それを広げるという事、それは探求する中で学ばれていくということ。それらは、単なるソリューションではなかったのだ。

Bob Dallis の Toyota の最初の数ヶ月間をまとめると、次のようになる。

  • 現地現物を見ることの大切さ。それにより、問題を見つめることができる。ひと、もの、製品、プロセス、場所、時間、そういったものの前後関係を見ることができる。問題が起き、その熱がまだ残っている状態を調査することができる。
  • 改善活動を全て積み上げていくことの大切さ。それは仕事をする中で仮定を持ち、テストの中でそれを変化をさせていくことだ。

「溶接よりもネジしめ、ネジしめよりも接着」といった教訓がある。それは、速さと問題解決の訓練の間でトレードオフにはなりえない。

  • 報告の大切さ。単純に行動や結果を報告するのではなく、その理由付けが大事だ。なぜそういった行動を撮ったのか、期待される結果はどうか。そして、かもしれないとかいうものではなく、何が起きたかだ。

問題解決は、知識を得ることであり、それをシェアすることなのだ。

The "Process" of Leadership

Dallis は見つけた。見つけること、試すこと、そして早さがトヨタの中に浸透している。これは製造だけではなく、トレーニングのような実体のないものについても当てはまることを。
Dallis がトヨタのマネージャになるべく準備していく中で、Mike Takahashi は多くのプロセスを Dallis に注入していった。

例えば、Takahashi が Dallis に合う以前、Dallis のキャリアや業績に関する多くのデータ(履歴書、文献、逸話)を持っていた。しかし、Dallis の実際の行動については見たことがなかった。Takahashi は Dallis の実際の行動を見るまでは、不用意な類推などをすることなく、実際の行動を見てから Dallis の能力開発をすることにした。

そのため、彼自身のやり方をつかむべく、最初に West Virginia で公平に管理された環境下で働く中で Dallis の能力を見ていくことにした。West Virginia の環境は技術色の強い場所(エンジン工場)であったが、機会工作ではなく、組み立てという比較的シンプルな側面を持つ場所であった。

こうすることで、Takahashi は複雑さを緩和させた。それは Dallis に問題解決の方法、そして一緒に働く仲間を巻き込む方法を学ぶことに専念させるため。Takanashi は頻繁に Dallis の行動をみてきたので、適切なコーチングを行うことができた。それは、むしろ、トレーニングプロセスと共に問題を見つめること、頻繁に変化を試みることによって行われた。前もって準備された高いレベルのトレーニングプログラムを通じて彼なりのやり方で試してもらうというやり方というものではなく。

Dallis は問題解決やナレッジの共有に関して多くの重要なレッスンを受けてきたけれども、リーダシップに関するレッスンはそれでも注目に値するものであった。最初、チームのメンバは彼と一緒に三日間を過ごした。Dallis は次のことを発見した。彼ら現場のオペレータは仕事を行う能力がある。すでに適切に調整された、制御の必要ない環境の中で働く能力をだけでなく、良く整備されたシステムとなるように改善活動に参加する能力も。彼らはそれを日々の仕事の中でおこなうのだ。しかも、彼らの裁量の中で。最初の日、Dallis は彼の定めた 7 つの変化について実際にやって見せれた事にとても喜んだ。一つは、あるチームリーダーが 30 分近くかけて説明し、一方で他者は 30 分以上かかっていた。

Kamigo のグループリーダたちは、ナレッジのノウハウについて詳細なプロセスを示した。どのようにすれば、Dallis やチームリーダたちが彼らの経験からより多くのものを得られるかという観点で。そのために、彼らに挑戦的で哲学的な質問を投げかけた。

  • 何を探索したか
  • 何がみえたか
  • これについて何をしたか
  • 何を試したか
  • 何を期待したか
  • 何が手に入ったか
  • ギャップは何か
  • 違いが生じた要因は何か

グループリーダや製造・工場責任者は継続的にこういった取り組みができたし、Takahashi も止めることなく開発プログラムの一端を担っていた。

まとめると、

  • 現場の作業員は変化に慣れているので、例えば日本語の離せない社員が仕事のやり方を一時間に何回も変化させたとしても、製造の作業を継続させることができる。
  • 主任は自らの権限の範疇内で問題解決をおこなう能力を持ち、迅速な成功のために多くの変化を考え、実施することができる。
  • 上位の責任者は工場設備について大きな規模でプロセスを改革を実施する能力を持つ。新たな環境下で、従来と規模、領域、影響について類似性が少なかったとしても。Dallis のように 12 週にわたるトレーニングで身につけることができる。
  • シニアマネージャはプロセス改善を構築する力がある。

これが、高いトヨタのオペーション能力、そして改善力の源泉である。