知識と技術の違いについて

今の部署に異動した時に別のグループのリーダと話をしていた中で感じた事。

そのグループは、提供しているサービスの中で生じている技術的な課題をソフトウェア観点で解決するような業務を行っている。曰く、そのチームのある分野における知見は世界的に見てもトップクラスであるとのこと。

一方で、凡ミスを行うケースもあるという。ある製品の導入やパラメータ変更の提案が来たとき、その変化による品質劣化を予見出来ず、結果としてサービスに対して悪い影響を与えてしまうというケースもあるという。そういった問題は、後になって振り返ると「当然そうなるよね」と結論付ける事ができる程度の混入であるという。

この二つの事実は、同じグループで起きているという。一つの結論として、グループの人数が多いことによるスキルのばらつきがあるという事で、勉強会を開くといったところで解消を図っているという。

具体的な解決方法については正直自分にはまだ確たるものは出てこないが、こういった事象を説明するにあたって必要なのは、知識と技術を明確に分ける(定義する)という事ではないかと感じる。

何が言いたいか。

知識というのは、知っているという事だ。「ジャガイモの芽に毒がある」というのが知識にあたる。技術はどうか「ジャガイモの芽を取る技術」なんかはあるかもしれない。「できること」であるというのは、技術を説明するための一要素だろう。

ところで、先進的な仕事をするためには知識を活用できなければならない。例えば「シチューを作る」というところで、「ジャガイモを使いたい」というモチベーションが生まれ、その中で「ジャガイモの芽に毒がある」という知識をもとに「ジャガイモの芽を取る」というスキルが必要になる。重要なのは、シチューを作るという工程の中で、「ジャガイモの芽に毒がある」事に気付けるか、「ジャガイモの芽を取ろう」という発想になるかどうかだ。シチューの例で言えば当たり前じゃないかという話になるが、それが複雑な構成、複雑な装置、複雑なパラメータで形成される場合、何がジャガイモの芽になるかすら見当がつかないという事もある。

「知識を身に着ける」という事は「ジャガイモの芽に毒がある事を知っている」という事。「技術を身に着ける」というのは「シチューを作る時にジャガイモの芽を取るという発想ができる」という事なのかなと最近は思っている。