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ボトムアップで組織を動かす

非管理職としてそこそこの規模の組織内で何年か仕事をしていると、案件を動かすというのがいかに大変かというのをしみじみと感じます。なんかやろうとして立ち消えになっちゃう案件とか、なんか立案してるけど内容がすごくしょぼいとか、そういう事例にはいくらでも遭遇した経験が誰しもあると思います。

案件を動かすというところにあたって大まかには下記の流れかと思います。改善寄りのピックアップになりますが、基本的にはどういう類いの分野(マーケティングとか)でも大差はないのかなと思っています。

  1. 現状を分析する
  2. 問題点を明確にする
  3. 効果的な改善案を立案する
  4. 組織(上司や同僚)を巻き込んで推進する
  5. 適切な指標で評価する
  6. 評価の結果から新たな課題を見つける

これらをトップダウンでやる(やらされる)分にはさほどきつくないのですが、ボトムアップでやっていくというのは冷静に考えればしんどいです。マネジメントと実働を全て自分主体でやるわけですから、しんどいのは当たり前かもしれません。ただ、組織を通じて自己の正義を実現させるというのであれば、マネジメントは避けては通れないのかなと思います。自分ひとりで人間を含むシステム全てを自在にコントロールできるウィザードであれば話は別ですが。

案件を推進する上で死の谷となるのは組織を巻き込むというところだと思います。経験的には、案まで固めたところで巻き込みを始めても手遅れの場合が多いです。例えば上司を取り込んでそこからトップダウンで巻き込みを図るとします。その際に、あまり修正の余地の無い「固まりきった案」を出されたとして上司はどうなるか。上司とて個の人間なので当然として別の思惑を持っていますし、何より責任を持つ必要があります。そういうシチュエーションに入ってしまったら、いくらかのオーダを入れるといった修正は不可欠になるでしょうし、最悪の場合はリジェクトという選択肢も取らざるを得ない。対立に近い、お互いに後に引きづらいステージで話をしないといけなくなる事が想定されます。

タイミングとしては、まだ種火の段階で上司にさらっとでも話をし始めるのが一番効果的かと思います。3 分くらいの世間話で収まる程度の大きさで収まっている段階です。「今○○についてなんとかしたいと思っているんですよねー。そのうちある程度形にしますので、そのときにきちんと説明します」くらいのアホっぽさで。前情報があるのと無いのとでは、ある程度の形が見えた時に受け手の負担が大きく変わります。

タイミングが良くてもテーマ(何をやろうとしているか)が駄目だと暗雲が立ちこめるでしょう。ボトムアップで案件を動かす場合、ひとまず上司にコンセンサスを取ってから動き始めるのが鉄則です。そう考えると、組織が持っている目標や個々が潜在的に感じている問題をテーマに挙げるというのが巻き込みを図る上で手っ取り早いです。今自分たちはこういう問題を抱えています。これは組織の目標に照らし合わせるとこの部分に該当します、といった具合です。マネージャは個々のベクトルを合わせて組織としてアウトプットさせる事が使命みたいなもんなので、きちんとそのレールに乗せてやれば無下には否定されない事でしょう。よほどコストのかかるアイデアでなければ。

加えて、そのテーマが潜在的に誰しもが抱えている悩みや問題に直結するものであれば(残業時間が長いので削減させるとか)、さほど細かい説明をしなくても実感として理解できるので、横の巻き込みもしやすくなります。もっとやるならば、巻き込まれやすいようにお膳立てするというのも必要です。「上司からオッケー出ている」とか「協力する事でお互いの案件に相乗効果がでると思う」とか、大義名分や後押しがないとなかなか他人の話には乗れません。

ちょっとした事に気をつければ、今まで動かないと思っていた山も、案外動き始めたりします。それは力任せになんとかやるというよりは、風の流れを読む事に近いかもしれません。もちろん、上辺だけで行動してもそれは他人に容易く伝わってしまうので、個としての信念はしっかり持った上で最小の力で最大限に組織を活用していく、という話になります。どれだけ大きな組織を活用できるかが、「七つの習慣」で言うところの「影響の輪」の大きさになります。