社内に技術を持っている事の重要さ

ここ数年の考え方として技術は買ってくれば良いと思っていたが、最近はそうでもない、すなわち技術やノウハウを自社で持つのは重要なのかなと思うようになってきた。

まず、技術を買えば良いという考え方の理由としては、技術自体がどこの会社でもあまり差別化要素にならなくなってきた事が挙げられる。ある製品について、他者に絶対的に優っているから売れているという事例を挙げろと言われた時、そういうのはあまりないよね、という話になる。極端な話、大きい会社は競合の追従を金で解決するだけでも、そこそこやっていける。技術開発のスピードや陳腐化も早くなってきた上に、一つの技術が支配的状況を作り出す訳ではないという前提であれば、目利きのある人が必要な技術を買ってきて、それを組み合わせるのが良いという話だ。

一方で、そうもいかないと思うようになってきたのは、「それぞれの技術を自分たちの中に組み込みづらい環境がある」という事実だ。

1点目は、技術の切り売りが難しいという点。先にも述べたように、技術が状況を支配しないので、技術を作る人たちはソリューションとセットで考える時代に入っている。買い手によっては、そのソリューションではなく、そのソリューションに使われている一部分が欲しいという時もあるが、売り手はそれを許容できない(旨味があまりない)という話になる場合もある。そうなると、スピード感がいきなり落ちる。

2点目は、「使えるかどうかわからない技術の話を他企業に聞く」というのがなかなか無駄なエネルギーを使うという点だ。結局、何か課題を解決するための技術を探しているという状態というのは、具体的な実施計画がないいわば育つか分からないけどとりあえず畑を耕しに行ったり種まきをしたりという状態である事が多い。話を聞かれる方としては、「そこでうちに金払ってくれるの、それとも話聞いて知見だけ取って終わる気なの」という疑問が当然湧く。技術が欲しい方は話を聞かないとお金を払えるかもわからないけど、技術を持っている方はお金を払ってくれないとやはり話を含めて技術を出したくない、というチキンエッグになる。

自社で技術や知見を持てば持つほど、こういった企業間の硬直状態というのは生まれづらい。なので、技術を持っている会社というのは、この硬直を和らげる事ができるので、新しいものや組み合わせを生み出しやすいのではないかと思う。もちろん、一人一人がこういう話をすることに抵抗の無い状況(忙しく無い)であり、社内で情報の交換が頻繁に行われるという前提はある。