車車間、路車間。

DENSOdocomo が通信を利用した車両制御システムの研究を協力して進めるとのこと。

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具体的にどのような通信形態を考えているのかは分からない。LTE だの 5G だの言っているし、docomo が研究するくらいし、イメージ図からしても路車間通信のように見える。この種の研究自体はアドホックでも路車間でもずっと前から研究されている分野なので、IoT と同じく「5G 普及時の主導権争いの一つ」なのだろう。

記事の中では、「高度運転支援や自動運転技術」との言葉があるので、カーナビゲーションのための情報提供といった付随的な役割ではなく、より「安全」だとか「人命」に近いところを確保するために車両を制御する事に重点を置いているようだ。エアバッグなんかと同じ位置づけだろう。そうなってくると、技術の信頼性というのは非常に重要になってくる。使えたり使えなかったりみたいなものであれば、もし事故が起きた際に「インフラとしての責任」が問われる可能性があるからだ。

そういった前提の中で路車間をやるとなれば、それこそ、「全ての視界の悪い交差点に対して通信を行うための基地局を置くのか?」という話になる。基地局といっても、実際にはとても小さいものになるだろうし、一台あたりのコストは小さいだろうけれど、国土の狭い日本とて世の中にいくつ交差点があるだろうか。

LTEカバレッジは 98% 以上なのだから、新規に基地局なんて打たなくても良い」という考えもあるかもしれないが、「実はエリアになっていなかったのでシステムが適切に作動せずに事故になった」みたいなことも考えられる。そもそも局地的にしか意味のない情報伝達を、LTE のネットワークに乗せて行うか。より低遅延かつ、局地的な情報のやり取りを考えると、どれだけ路車間用の基地局を打てるか」が勝負になるだろう。まぁ、実際には費用対効果が付いて来るはずはないのだけれど。

落とし所としては、車車間と路車間のハイブリッドという事になるのだろうけれど、どういった社会が実現できるだろうか。車車間通信では幾分精度の低い制御を提供し、より危険な交差点(事故が起きやすいといった実績があるところなど)については、その地方の警察などと連携して基地局を設置していくといったところか。それであれば、歩行者の持つスマートフォンと連携して、ある種の信号機のような使い方(信号の設置できないような場所には、スマートフォンの存在を検知して基地局が周辺の走行車にアラートを出すなど)なんかもできれば安全かもしれない。