マンネリ化で見えてきた「トコトン任せるアプローチ」

2 年以上運用とかいう仕事(しかもルーチンワーク)をしていると、日々の業務はパターン化されていて、かなりマンネリ状態に突入している。一応、役職というかなんというか、給料や正規のポジションは与えられていないものの、役割は増えているので、大きく見ると少しずつ要求されているものが変わっているけれど、本質的にやることはほとんど変わっていない。

サーバのアラーム対応という仕事柄、業務分掌はとても狭いし、よく出るアラームも大体似通ってくる。未知のアラームが出たとしても、アラームの内容からそのシステムや装置がどのような状況になっているかなんとなく想像できるし、想像できてしまえば初動対応については結構簡単に描けてしまう。

そうなってくると、あるアラームが鳴った時に「終わりが見えてしまう」ので、一瞬対応に躊躇してしまう。それ自体はあまり良いことではないのだけれど、「他の人にトコトン任せる」という選択自体はなかなか価値がある事のように感じてきた。

今の業務では、(個人に案件がほとんど紐付かないという意味で)個人で仕事をするということはない。なので、知識やスキルが豊富というのは一つのアドバンテージになるものの、一人が突出するというよりは皆がそれなりにきちんと対応できるというのが大事だったりする。攻殻機動隊 S.A.C. でいうと、3rd で少佐が去ったあとにトグサが統制をしているようなチームといった感じ。

そういったチームのパフォーマンスをあげるという時に、やはり出来不出来(慣れ不慣れ)が生じるのだけれど、それをどう埋めていくかというところに以前から問題を感じていた。できれば、一人ひとりが自律的に現状を把握し、情報を提供し、判断し、対応していくというのが理想である。一つの事象に対して、報告して指示を待つだけではなく、提案してそれを主体的に進められる人間の方が良い。また、主体的に進める人に対して主体的にバックアップできる人間の方が良い。要するに、頭が一つで手足がたくさんというチームよりは、もう少ししなやかなチームの方が統制する側としては楽である。

で、そういうチームをどのように作るかというところで、「他の人にトコトン任せる」という方法が案外使えるのではないか、と思うようになってきた。今まではトレーニーに対して「ちょっとその人にはコントロールが大変そうな案件を割り当てる」とか「報告に対して提案を求める」といった事をしていた。これは、任せているようであるけれども、結局は統制者が主体的にその案件について陰ながら主導権を握っている、少なくとも興味を持ってしまっているという状況である。この状況だと、セーフティネットがあるという下手な安心感が出てしまい、トレーニーの自律的な行動を阻害する要因になってしまっていたようだ。

もちろん、前向きな人は指示されようがされまいが何がどうあろうと前向きに取り組み、パターン化し、応用していくので勝手に自律的な行動を取れるようになる。が、そこらへんは人それぞれ得意不得意がある。得意不得意に関係なく、トコトン任せて周りは知らんぷりくらいの雰囲気でいると、(日本人限定かもしれないけれど)誰しもが持つ責任感によって、その人の自律的な行動を刺激する事ができるようである。

まぁ、この方法が有効かどうかは非常に疑問ではあるけれど。おそらく、どこかのタイミングで次のフェーズに移す必要があるのだと思う。